取材（1999.9月11日〜12日）
東京都千代田区神田
こんにちは、ウナです。タイトルがなんのことか分からない方もいらっしゃるでしょう。去る９月6日、アーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」（「メスト」はその略称です）を出版していた会社、新声社が倒産しました。ゲーム絡みの物件ですので、私が担当して取材してまいりました。たまたま倒産前日にも現地にいたのでその辺りも含め、時系列で紹介いたします。（2000.9.10 １年経ちましたので「追記」として書き足してきた部分を移動しました。こちら）
1999.8.30「ゲーメスト」（No.274）を購入読みすすめて違和感を感じたのは9月26日で本店以外の○ゲ屋（札幌、仙台、名古屋、梅田）が閉店ということ。そういえば本店もこの前行った時は売り場面積が半分になっていたっけ。うわさ話レベルで「新声社がつぶれる」というのをネット上で聞いたこともあって、「もしかしたらXデーが近いのかも」と思ったりしました。でもまぁ思うだけでまだそんなことが起きるのは大分先だと…
1999.9.5 神保町へ行ってみる
スタンプカードを持っているので普通の雑誌などを買う時でも○ゲ屋で時々購入してました。この日も雑誌やら漫画やらを何冊か買う予定が合ったので普通の店で買うよりは、と○ゲ屋へ。18：00少し前だったでしょうか。地下1Fの店鋪へ入ろうとするとすでに「CLOSED」の看板が。それでもおかしいと思わないのが私の鈍いところ。
買い物は諦めて1Fのゲームセンターに入ってみると、やはりなにか雰囲気が変。休日なのにお客さんはわずかに2人。ゲームをするわけでもなく椅子に座ってます。さらに変なのは店内放送。閉店は20：00のはずなのに「螢の光」がかかってます。さすがに何かあるのではと思いはじめ、その夜某所に「（つぶれるという）噂は本当かも…」などと書き込んだりしてみる（今にしてみるとなんともまぁお間抜けな）
1999.9.6 第１報
いろいろなところで書かれていた様ですが私が一番最初に見たのはZDnetの記事でした。（記事中に「8：00まで○ゲ屋も営業しており…」といった表現が出てきますがこれは併設のゲームセンターのことかと思われます。）それからあたふたと情報を探ってみましたが結局プロデューサーの猿渡氏の日記（現在は閉鎖）を見つけたくらいでとくに収穫はなし。
1999.9.8 取材
ここからは「廃墟ファン」的なはなし。脈絡感傷はともかく神保町のあのビルが「できたて廃墟」になったわけなので取材の話を編集長と。あっさりOKが出る。AZTさんからも「あ〜？新声社？まぁテメーに任せるからせいぜい凹んだ記事でも書けやオラ」と励まされる。（…うぅ）
1999.9.11 アゲイン
そうこうするうちに土曜日。「さっさといかねぇと取り壊されてるかもしんねーぞ」「いくらなんでもそんなに手早く事が進むなんてことはないでしょう」とはいいつつも内心（もしかしたら工事中で絵になるものが撮れなかったりして…）に芽生える不安。地下鉄半蔵門線の神保町駅A5出口を出てアーケードをしばらく進んで左折、しばらく歩いて…見えてきました。建物はさすがにそのままです。
しかし入り口は固く閉ざされていました。鉄格子の中を覗いてみると新聞が放り込まれています。２〜３誌あるのかな？一つが日経であることはかろうじて分かりましたが。
中の景品が崩れたままのUFOキャッチャー（中身はセングラ）、もう一台のプライズマシン。そして二度と出されることのない「○ゲ屋」の看板。
つい先週まではこの看板の下、ずらっと並んだモニターに１Fのゲームセンターのゲーム画面が写し出されていました。今は仕舞い忘れたビデオのサンプルとやけに空しく写る「最新号入荷しております」のはり紙。それが全部。
上で述べた記事にもあるようにオフィスの方の入り口には告示がはってあります。中を覗いてみるとマガジンラックが。いろいろ出していたのが分かります。２階、さらに上を見上げるとほとんどのモノがそのままになっているような感じです。
ちょっと疑問に思ったのは「電気が来ている」ということ。社内の自販機にも外に置いてある自販機にも電気が来ています。植え込みの電燈も点っていますしあまつさえ夜になるとビルのてっぺんのネオンが点ります。（参照：日中→夜）自販機では実際にコーヒー買えました。もっとも補充はないでしょうから…
さて、缶コーヒーを飲みながら一息ついていると私以外にも別れを惜しみに来た人が。よほど思い入れが深かったのでしょう、格子で閉ざされた入り口を前に糸のきれたマリオネットのごとく崩れ落ちてしまいました。同行の人が助け起こし、そのまま裏手へ回って告示を確認して、肩を落として去っていきました。
さて、今日の取材はこのへんで。しかしこれで終わりというわけではありません。
1999.9.12 エピローグ
有明ビッグサイト。9/9〜12日の日程で開催される、アミューズメントマシンショーの最終日。つぶれてさえいなければ新声社もこのショーで自社のブースを持ち、発表されたゲームの人気投票の集計を行っていたのでしょうが…
ただそこにあるのは、からっぽの小間、一枚のはり紙。
そして終了の17：00と共にそれも剥がされ、これで…全部…終わり。
